胎児心拍数図に関する用語・定義(改定案) 日産婦誌 54(4)(平成14.4) |
欧米の定義と足並みをそろえ,心拍数基線,基線細変動,心拍数一過性変動,をそれぞれ別個にするものとする。 |
1,胎児心拍数基線 FHR baseline |
1)正常(整)脈 normocardia:110〜160bpm |
2)徐脈 bradycardia: < 110bpm |
3)頻脈 tachycardia: > 160bpm |
2,胎児心拍数基線細変動 FHR baseline variability |
1)細変動消失(undetectable): 0bpm |
2)細変動低下(minimal): 5bpm以下 |
3)細変動中等度(または正常)(moderate,normal): 6〜25bpm |
4)細変動増加(marked): 26bpm以上 |
(注)サイヌソイダルパターン sinusoidal patterm |
サイヌソイダルパターンは心拍曲線が規則的でなめらかなサイン曲線を示すものをいう.持続時間は問わず,1分間に2〜6サイクルで振幅は平均5〜15bpmであり,大きくても35bpm以下の波形を称する. |
3,胎児心拍数一過性変動 periodic or episodic change of FHR |
1)一過性頻脈 acceleration |
心拍数が開始からピークまでが急速な(30秒未満)の増加で開始から頂点までが15bpm以上,元にもどるまでの持続が15秒以上2分未満のものをいう.32週未満では心拍数増加が10bpm以上,持続が10秒以上のものとする. |
持続一過性頻脈 |
頻脈の持続が2分以上,10分未満であるものは持続一過性頻脈とする.10分以上持続するものは基線が変化したものとみなす. |
2)一過性徐脈 deceleration |
a)早発一過性徐脈 early deceleration |
子宮収縮に伴って,心拍数が開始から最下点まで緩やかに(30秒以上かかり)降下し,その後子宮収縮の消退に伴い元に戻る徐脈で,徐脈の最下点と対応する子宮 収縮の最高点の時期が一致しているものをいう. |
b)遅発一過性徐脈 late deceleration |
子宮収縮の伴って,心拍数が開始から最下点まで緩やかに(30秒以上かかり)下降し,その後子宮収縮の消退に伴い元に戻る徐脈で,子宮収縮の最強点に遅れてその徐脈の最下点を示す ものをいう. |
c)変動一過性徐脈 variable deceleration |
心拍数が開始から最下点(nadir)の初端までが30秒未満で,15bpm以上の下降を示す徐脈であり,開始から元にもどるまで15秒以上2分未満を要するものをいう. |
(注)子宮収縮が不明の場合は,早発一過性徐脈,遅発一過性徐脈,変動性一過性徐脈の区別はつけない. |
d)遷延一過性徐脈 prolonged deceleration |
心拍数の減少が15bpm以上で,開始から元に戻るまでの時間が2分以上10分未満の徐脈をいう.10分以上の一過性徐脈の持続は基線の変化とみなす. |